今回まとめるのが大変難しかったです。すみません。
中国経済の動向と中小企業の可能性
〜上海・蘇州・台州の調査から〜
講師:植田 浩史氏(慶応大学・経済学部 教授)
中国の経済のキーワード
『巨大』『何でも在り』『変化・成長』巨大→人口、市場、面積の巨大さ
何でも在り→現実が先行し政策、制度が後からついてくる。
変化・成長→同じ企業でも2年後には業種が全く違う場合がある。
『垂直分裂』
ものづくりの方法が日本と全く違う発想。
日本:コンセプトを元に各々の部品が作られてくる。(典型的なピラミッド型)
中国:完成品を作るメーカーと部品を作るメーカーが全く別に存在する。
自社にない物は買えばいいという発想。部品を買い集めてアッセンブリをして自社製品とする。
流通
多段階流通システムの方が安い場合がある。
車の例)
正規ディーラーの直売店より途中に多くの卸し問屋が入った他店の方が安い。
正規ディーラー系列はマージンが高く、後者のそれの合計よりも高い場合がある。
(わけの分からないような会社が薄利多売を行う)
本の紹介
伊佐進一『「科学技術大国」中国の真実』 講談社新書 2010年
管理・整理がないある意味無法地帯の中国と、有人宇宙飛行を実現する2面性から日本が考えるべき問題点とは?
郭四志『中国エネルギー事情』岩波新書 2011年
「科学技術」と「エネルギー」再生エネルギーの投資中国が世界一
明の時代 世界三大発明(火薬・羅針盤・活版印刷術)のうち2つは中国で発明
清の時代 明の時代に世界一の技術を誇っていたがその「おごり」から開発を止めてしまって衰退していった。
今の日本は清の時代へと突入していないか?
台州と言う場所
台州の吉利(キスリ)と言う会社は当初冷蔵庫メーカーであったがバイク、現在は自動車メーカーになっている。
愛知県豊田市にある中小企業はトヨタ関係の下請け孫受け企業が多いが、台州では吉利の存在に全く関係なく部品産業が集積している。吉利の下請けのような企業は少ない。
台州にはものづくりメーカーがひしめき合っているが、それぞれの会社はその地域の他社と全く関係無しに存在する
電気自動車と電気自転車
中国メーカーの電気自動車のコンセプトは低速EVと呼ばれる、1回充電すれば2、30km走行すれば十分という低所得者層向けの商品。こういった製品を開発するような会社が100件くらいごろごろしている。
電動自転車は日本のような電動自転車の形でなく、日本のスクーターバイクの様な形をしている。時速2〜30km出るが、免許無し、ナンバー無しで乗れるので人口13億の市場で爆発的に売れている。
基本的に自社にない物は買ってくるので、全く別のメーカーの車であってもエンジンが全く同じエンジンメーカーの同じ商品である事は普通である。
中小企業は修理などの保守部品の生産。
販路開拓が一番重要。販路を開拓すれば市場が大きいので化ける可能性が大きくなる。
日本の唐沢ブレーキと言う会社は中国の電動自転車市場でブレーキワイヤーのシェアを持っている。
中国のPOVOSという会社(元々販売代理店だったので販路が十分生かせた例)
販売代理店→修理販売店→部品加工→各社小家電(生活用電化製品)のOEM生産→自社ブランド
→上海移転(上海という名前はある種ブランドになっている)→海外メーカから技術輸入
→海外へ輸出
義烏(イーウ)と言う場所
世界で一番雑貨類等の商品が安く買える場所。
全品検査をして不良品を排除するように要求する日本人はあまり好ましく思われていない様子。
少子高齢化
日本、韓国、中国と東アジアでみると少子高齢化は進んでいる。
中国の大学のレベル
格差は大きいが、TOPクラスの大学では国からの予算のつき方が日本に比べ桁が違うので、TOPクラスだけを見ると、世界のTOPクラスに居ると言っていい。
まとめ
・自らの立ち位置を明確にしてピンポイントでビジネス。
・中国で、今まで何が起き、現在は何が進んでいて、将来は何が起こるのかをしっかり見定める
・中国の現在の状況を何故?そうなっているのかを理由を明確にしておく。
・地域によって様々だが、ものづくり系より非ものづくり系が好まれるようになってきた。
・体制の崩壊は「独裁」「エネルギー価格」「経済」「食料」がキーワード
2011年03月04日
【例会報告】日中経済交流研究会 2月公開例会 2011年02月10日(木曜日)
posted by katagijutu at 17:02| 業務日誌